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分譲マンションにおける空き駐車場の外部貸し

分譲マンションにおける空き駐車場問題は、マンション管理組合にとって頭の痛い問題のひとつです。
最近では、車離れや車の大型化により空き駐車場の多いマンションが増えているようです。

多くのマンションで駐車場収入を管理費や修繕積立金に充当していることが多く、駐車場収入が減少すると管理費や修繕積立金が不足してしまいます。
特に機械式駐車場の場合は、維持管理のコストもかかるため一定以上駐車場が空いてしまうと管理費や修繕積立金に充当するどころか、維持管理費すらまかなえないという事態にもなりかねません。
これらの負担を解消するために、管理費や修繕積立金を値上げする必要が生じてきます。

そうした空き駐車場の問題をかかえるマンション管理組合が一度は考えるのが、居住者以外の方への貸し出しです。
しかし、「どうやって募集するか?」、「外部者を敷地内に入れてよいのか?」、「売り上げがあると課税されて面倒」 などの理由で躊躇してしまう場合がほとんどでした。

このたびの国税庁の照会により課税関係が明確になり、空き駐車場問題が一歩前進したと考えられます。

 国税庁の照会ページ
 マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)

管理組合収入の課税関係

[法人税]

 マンション管理組合又は管理組合法人(以下「管理組合」といいます。)が、その業務の一環として、その区分所有者(入居者)を対象として行っている駐車場業は、下記の条件での事実関係を前提とする限り、収益事業に該当せず不課税となります。(平成18年5月1日国税庁 Q&A)
 (注)不課税とは、対価性がなく、資産の譲渡等に該当せず課税されないものを云い、非課税とは、資産の譲渡等のうち、課税しないこととされているものを云います。

マンション管理組合が行う駐車場業は収益事業に該当しないことの判定条件

①  駐車場業は、その区分所有者を対象として行われており、外部の者は使用していないこと。 
②  駐車場の敷地はその管理組合の共有部として管理されているものであること。 
③  駐車場収入は、管理組合当該年度決算書において管理費・修繕積立金等の管理組合収入と同じく、管理組合収入として計上され、管理組合会計の中で一体として運用されていること。 
④  駐車料金は、区分所有者(入居者)を対象として行っている収益を目的としない事業であるから付近の駐車場と比較し低額であること。

不課税となる根拠

①  管理組合の構成員を対象として行う共済的な事業であること。
②  駐車料金は、区分所有者が所有している共有物たる駐車場の敷地を特別に利用したことによる「管理費の割増金」と考えられること。 
③  その収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において運営費又は修繕積立金の一部に充当されていること。 

(注) 税法における団地管理組合は「人格のない社団等」とみなされ、また、団地管理組合法人については法人税法第2条第6号の公益法人等とみなされます。ただし、寄附金、法人税率については、普通法人と同様に取り扱われます(建物の区分所有等に関する法律第47条第13項)。 


【 関係法令通達】 
法人税法施行令第5条第1項第31号
建物の区分所有等に関する法律第47条第13項
 

[消費税]

 マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。


イ  駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係る対価は不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係る対価は消費税の課税対象となります。 

ロ  管理費等の収受………不課税となります。 


【 関係法令通達】  消費税法第2条第1項第8号 

管理組合収入の納税手続き

 マンション管理組合が区分所有者又は居住者以外の者に駐車場を使用させている場合は、収益事業として駐車場事業を行っていると認定されますので、管理組合に申告納税の義務が発生します。
駐車場収入を管理組合会計の中で一体として運用することは出来ず、管理組合会計(非収益事業)と駐車場事業会計(収益事業)とを区分経理しなければなりません。

【 関係法令通達】:法人税法施行令
(収益事業を営む法人の経理区分)
第六条 公益法人等及び人格のない社団等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行なわなければならない。

納税申告書の作成は、税理士、会計士以外の者は代理人となることができません。
また、収益を組合員に配分せず、管理費、修繕積立金等の管理組合収入として計上されるものであることを管理規約に明記し、制度上、LLPとは異なるものであることを明らかにしておく必要があります。

なお、収益事業を行っているにもかかわらず申告しない場合は、事業開始年度にさかのぼって修正申告を行い、事業年度ごとの法定納期限から完納までの延滞税及び加算税を併せて納付しなければなりません。

課税手続きと申告窓口
(A)管理組合が行わなければならない手続き
(a-1) 事業開始届けの提出
1.税務署
2.県(都)税事務所
3.市区町村(法人税担当部門)

(a-2) 申告納税
1.[法人税](税務署)
2.[消費税](税務署)
3.[地方税]  1.県(都)に申告納税するもの(事業税、県(都)民税)
         2.市区町村に申告納税するもの(市(区)民税)

[法人税]
 普通法人又は人格のない社団法等における法人税は年800万円以下の各事業年度の所得金額に対して22%、800万円を超える各事業年度の所得金額に対して30%です。

経費の算定に関する注意事項
(1)機械式駐車場保守費の経費算入に際し、駐車場の全部を外部貸しているのではなく、本来の不課税取引である区分所有者又は居住者が使用している駐車場の一部を外部貸ししている場合、保守費全額を収益事業の経費として算入することは出来ず、保守費の負担割合を合理的かつ適正に評価しなければなりません。
(2)区分所有者又は居住者が使用している場合には必要のなかった減価償却の算定が新たに必要になります。
(3)経費に算入できる修繕費の原則に則り「元の状態に戻す修繕=修繕費」と、「元より資産価値が高まる修繕=資本的支出」とに分け、資本的支出の場合は減価償却によって必要経費に計上することになります。

[消費税]

課税売上高が1,000万円を超える場合には消費税課税事業者届出書を税務署に提出し、申告納税します。
 基準期間の課税売上高が1,000万円以下に収まっていれば、原則として免税事業者になります。課税売上高が1,000万円以下は消費税を納税しなくていいわけですから、有利に見えます。ところが、機械式駐車場保守費などの費用、即ち仕入にかかる消費税が、受取駐車料金の総額、即ち売上にかかる消費税よりも大きい場合には、消費税の還付を受けることができます。つまり免税事業者ではなく、課税事業者を選択し、申告すれば、消費税が還付されます。 基準期間の課税売上高が1,000万円以下に収まっている場合に、課税事業者になることを選択するためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。
この届出書の効力は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間とされていますから、前もって提出しなければなりません。税金は支払うだけではなく、申告すれば逆に戻ってくることもあるのです。

[地方税]
 法人税が各事業年度の所得金額に対して課税されるのに対し、地方税はたとえ事業が赤字になったとしても均等割は必ず納付しなければなりません。更に所得金額に比例する分に対して事業税が課税されます。