離婚と税務
厚生労働省の「平成21年度離婚に関する統計」によると、離婚件数は平成14年の29万組をピークに減少してきているものの、依然、年間25万組を超えるペースで推移しているようです。離婚に際しては、慰謝料・財産分与、教育費の支払などが行われることがありますが、場合によっては税金が課されることがあります。
そこで、今回は離婚に伴う課税関係についてご紹介します。
慰謝料・財産分与
離婚における慰謝料とは、離婚原因を作った側が苦痛を受けた側に支払う損害賠償金のことをいいます。
また、財産分与とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって築いた共有財産を分配することをいいます。
<金銭で支払う時>
金銭で支払う場合は、支払う側も受け取る側には、原則税金は発生しません。
ただし、すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合や税金逃れと認められる場合は、贈与税が課税されます。
<不動産で支払う時>
金銭以外の不動産や有価証券等で支払った場合は、支払う側も受け取る側も税金が発生します。
金銭以外で支払う時の税金
不動産で支払った場合は、支払う側も受け取る側も税金が発生し、
有価証券等で支払った場合は、支払う側に税金が発生します。
<不動産で支払う時>
不動産で支払う場合は、支払った側には譲渡所得税が発生します。
また、受取った側には、不動産取得税、登録免許税が発生します。
なお、金銭と同様に、すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合や税金逃れと認められる場合は、贈与税が課税されます。
<有価証券・その他財産で支払う時>
有価証券やその他財産で支払った場合は、支払う側に譲渡所得税が発生します。
対象 | 支払う側 | 受取る側 |
---|---|---|
現金・預貯金 | 非課税 | 非課税 |
不動産 | 譲渡所得税 | 不動産取得税・登録免許税 |
有価証券・その他 | 譲渡所得税 | 非課税 |
賃貸アパート等を財産分与された場合
賃貸アパート等の不動産を財産分与され、受取った側が今後もアパート経営を続けていく場合は、今後不動産所得が発生するため所得税や消費税が発生する場合があります。
取得後2ヶ月以内に青色申告の手続きを行うことをお勧めします。